副業解禁は企業にとってパンドラの箱なのか?

副業の解禁は必要か?

近年、働き方改革の一環として副業の解禁が注目されています。
とはいえ、副業解禁を行うことの企業への影響は、ネガティブな側面に注目が集まり、実際のところどうなのかが見えずらい。
開けたら最後、ないが出てくるのかわからない、、、。
そんな状況では、副業解禁の検討もしようがない。
ということで、実際に解禁した企業での副業解禁の事例を紐解いて、副業解禁が企業にもたらす影響がどんなものなのかを見ていきたいと思います。

ダイドードリンコ(株)での副業の位置付け

SmartHR Mag. 編集部さんの記事に、ダイドードリンコ株式会社の濱中昭一さんのお話が出ていたのでそれをまとめていきたいと思います。(https://mag.smarthr.jp/guide/information/agenda3_dydodrinco_kikkoman/)

ダイドードリンコ(株)は、副業を企業の成長と社員の成長の両方に寄与する重要な要素として位置付けています。
同社は「ワークライフシナジー」を掲げ、社員が副業を通じて新しいスキルを獲得し、他社での経験を自社に還元することを奨励しています。
副業は単なる追加の収入手段としてではなく、社員のエンゲージメント向上や離職率の改善、さらには企業の競争力強化につながるものと考えられています。

副業制度を導入することで、社員が異なる業界や職務で得た知識やスキルを社内に持ち帰り、社内の業務改善やイノベーションに貢献することが期待されています。
これにより、社員一人ひとりの成長が企業全体の成長に直結するという考え方が根底にあります。

また、副業は社員の自主性やチャレンジ精神を促進する手段としても重要視されています。
社員が新しい分野で挑戦することにより、自らのキャリアの幅を広げ、自己実現を図る機会を提供することが狙いです。
このような取り組みは、社員のモチベーション向上にも寄与し、結果として企業全体の生産性向上につながるとされています

副業解禁に際して行ったこと

同社では、副業解禁に際して以下のような具体的な取り組みを行いました。

制度の設計と導入

副業を奨励するための制度を整備し、明確なガイドラインを設けました。特に、月の労働時間や深夜労働の制限、同業他社での副業禁止といった基本的なルールを定めました。これにより、副業が社員の負担とならず、本業にも支障をきたさないようにしています。

申請制の導入

副業を希望する社員は申請を行い、人事総務部が内容を確認した上で許可を出すという手続きを設けました。これにより、適切な労務管理を行いながら副業を進めることが可能となりました。この制度により、企業は副業が本業に悪影響を与えないよう管理しつつ、社員の自主性を尊重しています。

エンゲージメント調査

副業をしている社員に対して定期的にアンケート調査を実施し、副業の影響や効果を把握しました。この調査結果をもとに、副業制度の改善や適応を進めました。社員のフィードバックを積極的に取り入れることで、制度の実効性を高め、社員のニーズに応える形で進化させています。

内部コミュニケーションの強化

副業に対する理解を深めるために、社員への情報提供や啓発活動を行いました。これには、副業が社員のスキルアップや自己実現にどのように役立つかを説明するセミナーやワークショップの開催が含まれます。社員が副業に対するポジティブな認識を持ち、自身のキャリアに積極的に取り組むようサポートしています。

チャレンジアワードの実施

社内の「チャレンジアワード」という企画を通じて、副業のアイデアを社員から募り、副業解禁のための基盤を築きました。これにより、社員自身が積極的に副業に取り組む意欲を高めました。副業のアイデア募集は、社員が自身の興味や関心を追求するきっかけとなり、結果的にエンゲージメントの向上に寄与します。

これらの取り組みを通じて、同社は社員が安全かつ効果的に副業を行える環境を整え、副業がもたらすポジティブな効果を最大限に引き出すことを目指しました。

副業解禁をした結果

副業解禁後、ダイドードリンコ(株)では次のような変化がありました。

エンゲージメントの向上

副業を行うことで社員のエンゲージメントが向上しました。
社員が新しいスキルを獲得し、自己成長を実感することで、本業への意欲やモチベーションが高まりました。
副業を通じて得た知識や経験を本業に還元することで、業務の効率化やイノベーションの推進が見られました。

離職率の改善

副業解禁により、社員が多様な経験を積む機会が増えたため、離職率の改善が見られました。
特に、自己実現の機会を提供することで、社員の満足度が向上し、長期的な定着につながりました。
社員が自分のキャリアを積極的に追求できる環境が整ったことで、企業へのロイヤルティが高まりました。

スキルの社内還元

他社で得たスキルや知識を社内に持ち帰ることで、業務の効率化や新しいアイデアの創出に貢献する社員が増えました。
これにより、企業全体の生産性向上やイノベーションが促進されました。
社員が新しい視点やアイデアを持ち帰ることで、社内の風土や業務プロセスに新たな刺激を与えました。

健康意識の向上

副業を通じて、健康維持やライフスタイルの改善に取り組む社員が増えました。例えば、健康のために自転車での配達業務を副業とする社員もおり、これが全体的な健康意識の向上に寄与しました。
社員の健康意識が高まることで、結果的に本業の生産性も向上しました。

新しい視点の導入

副業によって他業界での経験を積んだ社員が、新しい視点やアイデアを持ち帰ることで、社内の風土や業務プロセスに新たな刺激を与えました。
これが組織の柔軟性や革新性の向上につながりました。
新しい視点が社内に浸透することで、業務の改善や新しいビジネスチャンスの発見にもつながりました。

ネガティブな影響の最小化

副業解禁前に懸念されていたネガティブな影響、例えば本業への集中力の低下や優秀な人材の流出などは、現時点ではほとんど見られませんでした。
これは、副業のルールや制限を明確に設定し、適切な管理を行った結果と考えられます。
企業が副業に関するルールを厳格に運用することで、社員がバランスの取れた働き方を実現できるようになりました。

副業解禁の成功の肝は、適切な制度設計と管理

今回取り上げた、ダイドードリンコ(株)の事例では、副業を解禁することで、社員のスキルアップやエンゲージメントの向上、さらには企業全体の競争力強化につながっています。
労働市場の変化や働き方の多様化に対応するためには、副業の解禁が不可欠です。特に、労働人口の減少や長時間労働の是正といった課題に対処するため、副業は効果的な手段となり得ます。

副業の解禁により、社員は新たなスキルを獲得し、自身のキャリアを広げる機会を得ることができます。
さらに、副業を通じて得た知識や経験を本業に還元することで、業務の効率化やイノベーションの推進が期待されます。
副業解禁のポジティブな影響は計り知れません。

確かに、副業解禁には、労働時間管理やコンプライアンスの遵守、離職の懸念といった課題も伴います。
ですが、もう副業解禁は開けたら何が出てくるかわからないパンドラの箱ではありません。
適切な手順で、適切な制度設計と管理をすることができれば、副業解禁は企業の明るい未来を作る大きな一手となります。
ルールチェンジの起こったこの時代をより良い方へ舵を切っていくためにも、多様な働き方のより良い実現をぜひ考えてみてください。

私たち副業マイスターは、未来につながる副業解禁のお手伝いを行なっています。
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